2017年お疲れ様でした

2017年末であるが、今回は特にまとまった議論はなく、かわりに年末をしめくくる娯楽投稿をさせて頂く。2017年は大変に収穫の多い年であった。2016年からわずか一年で心持ちもこれほど変わるものかと個人的には感嘆するところだ。環境を移したことはとても大きい。所属企業を変えたことによる恩恵と、居住国を変えたことによる恩恵と双方ある。移住後に学んだことは適宜整理していきたいが、一つの記事をまとめるのに時間がかかる点をご容赦頂きたい。

著者は本日12月29日で仕事を納めた。同僚たちの多くはクリスマス以降は年末休暇をとっているが、著者は代わりに12月初頭にポルトガルで2週間ほどリラックスしてきた。年を締めくくる仕事は半年間の研究成果をアカデミックな形式に沿って社内論文にまとめることであった(ひとまず年内に執筆完了してほっとしている)。世間では同じく研究で生計を立てる研究者たちがジャーナル論文や査読付き国際会議論文の執筆に忙しいが、著者の勤務組織で要求される社内論文は、世間的にはジャーナル論文と体裁が近い。この社内論文は社員のみが参照できるもので、提案された投資アルゴリズムが厳しい市場で本当にworkしうるかどうか、同僚たちがレビューするために使われる。従ってバイアス低く品質を判断するための必要材料を明確に掲載する必要がある。ジャーナル論文と同様形式の社内論文は、研究成果を宣伝すること以上にプロダクト品質確保のために非常に有効である。これは実際に研究プロセスに深く関わった人でないと想像がつかないらしいのだが、論文にまとめることでアプローチを全て明確に言語化かつ定量化することになるので意思決定の品質は大きく上がる。論文を有効活用した組織運営については、学んだことをいずれ日本企業の方に伝えていきたい。アカデミックという単語を強調したのは、その形式が最終的にrisk-adjusted returnの向上につながるからである。この運営形態は大学で行われる基礎研究と民間企業で行われる商業研究との違い・それぞれのあるべき姿について深く考えるきっかけになった。大学で作られた基礎研究成果をビジネスに応用するのが商業研究、というような安易な説明は理想形とは全く違うのだ。

関連して最近、回り道の効用について考えている。前回の投稿で通常の学びに加えて「学び方を学ぶ」利点をお伝えした。この方法論では、人から言われたとおりに学習を進める以外に余計な試行錯誤の時間が加わるため、学習の初期では他人より非効率に学ばざるを得ない。その代わりに将来の学習速度が加速してくる。時間を入力、累積報酬を出力とした関数のconvexityが上がるわけだ。回り道の多い方法論ほどconvexityが強くなるのだが、このことを研究開発や投資戦略の根本に据えるアプローチについて次回は議論したいと思っている。

このconvexityに関連して、また年末企画として、今年読んだ中のベスト一冊を紹介させていただく。2013年の出版だが、Mark Spitznagel の The Dao of Capital である。もし中央銀行による介入がなかったら、金利がどのように決まるべきなのかオーストリア学派の考え方がよくわかった。いわゆるリバタリアンの考え方に賛成の人、同意しない人の双方にお勧めである。そしてこの本は株式から研究開発までありとあらゆる投資の本質を議論していると思う。

 


The Dao of Capital: Austrian Investing in a Distorted World

年の終わりにオックスフォードや他の欧州都市の魅力の一部をお伝えして締めくくろう。ポルトガルでの休暇以外にも、今年は週末を利用してポーランドとアイスランドを訪れた。実は著者は最初の大企業に勤務していたころ、ほぼ毎年外国で2週間以上の休暇を取っていたため、馴染みのある地域がこちらにも沢山ある。それでも週末に都合の良いフライトを見つけてふらっと遊びにいくと、用意周到に長期休暇を計画するのとはまた違った面白さを味わえる。

近所のBlenheim Palaceでチャーチル像と。Blenheim Palaceはウィンストン・チャーチルの生家であり、観光地としても有名である。

同じくチャーチルつながりで、こちらはポルトガルのマデイラ島で高級ホテルBelmond Reid’s Palaceでアフタヌーンティーをしたときのもの。Reid’s は第二次世界大戦後にチャーチルが滞在した場所として有名で、館内もチャーチルとその妻クレメンタインの写真がいろいろな所に飾ってある。このホテルの最高級スイート(金額的に著者には全く手が出ないが・・・)はその名もChurchill Suiteである。

Reid’s館内のチャーチル写真とグッズ一例。

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オックスフォードに戻って、Jericoエリアの運河を。鉄道駅から来た場合、この運河の先に著者の勤務する建物が近づいてくる。水は緑色に染まっているものの、朝散歩すると気持ちよいエリアである。

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著者の居住するエリアから市の中心部に向かうと、観光客がよくボートを漕いでいる落ち着いた小川にたどり着く。ハリー・ポッターの撮影で有名なChristchurch Collegeの近くである。

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小川はテムズ川につながっている。テムズ川上流の落ち着いた姿は特に夕刻ごろが美しい。

Christchurch collegeとその内部。その他のCollege訪問として、会社とオックスフォード大学との共同研究関係のおかげでBalliol collegeで特別ディナーを頂く機会に恵まれたことがある。写真は載せないが、お世辞ではなく美味であった。

著者の家の近くにはCowley Roadという通りがあり、このエリアは北アフリカや東ヨーロッパ、アジアからの移民が多くレストランやカフェを開いている。日本の食材も韓国スーパーで揃い、国際色豊かなエリアで助かっている。一番上は日本食レストランの「食べる」。オックスフォードの日本食レストランではEdamameと並んで評価が高い。シリア料理のThe Pickled Walnutや通り一つ隣の Cuttlefish などもお勧めである。

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こちらは歴史の深さと建物の美しさがオックスフォードと共通するポーランドのクラクフである。著者が前回クラクフを訪れたのは2003年で実に14年ぶりであったが、駅前の巨大ショッピングモールには心底驚いてしまった。ポーランドの経済発展は本当にめざましい。イギリス滞在中に、まったく進歩していない著者のポーランド語も改善した方が良いのだが・・・

ポーランドはGdańskも訪れた。イギリスのBirmingham空港に格安航空便が飛んでいる日がある。Birminghamはオックスフォードからのアクセスが良く便利である。

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ポルトガル, Taviraの綺麗なビーチ。Algarve地方では他にLagosも訪れたが、Taviraのビーチは白砂でもっとも美しかった。冬場の避寒にお勧めである。

最後はおまけで、移民手続きの忙しい最中にやりくりして訪れたネブラスカ州オマハでのValue Investor Conferenceの風景、および3日間のExecutive MBAプログラムで頂いた盾。当時のレポートはこちらにまとめてあるので興味ある方は読んでみてください。

今年一年お疲れ様でした。皆様もよい新年をお迎えください。

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投稿者: rikija

機械学習・認知科学・投資アルゴリズムの研究者。作曲家 (アマチュアですが鋭意努力中) Twitter: @rikija / https://twitter.com/rikija 論文実績等は https://sites.google.com/site/rikiyatakahashi/ を参照

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